(コラム14】反復性脱臼をするから手術するのか?

おはようございます。
トータルケア太陽の中尾です。

脱臼するというのは一般的には馴染のないことですが、スポーツをしている人には結構、悩みの種となることが多い症状のひとつです。

それは一度、脱臼をすると、その後の状態や処置の仕方によってはちょっとしたことで脱臼を繰り返すようになってしまうからです。

昨日も大分県のラグビーをやっている方がチーム専属のサポートチームから手術を勧められているということで、ご相談に来院されました。

脱臼の問題は箇条書きにすると

1.脱臼した時の痛み
2.脱臼するのではないか?という恐怖
3.実質的な可動域の制限による運動機能の低下
4.脱臼をするとしばらく運動をできないリスク
5.無意識にかばう動きによる筋バランスの低下

結構ありますよね?これだけのことを考えると手術を検討するのもわからなくもないですよね。

実際に本格的にやっている、もしくはプロなら運動をできない、パフォーマンスが低下するのは、激しいスタメン争いの中では致命的です。

ひとつひとつ解説するのではなく、反復して脱臼する症状がある場合に手術をするのか?ということで相談に来られた場合の解説をしていきます。

この方は一度、筋肉?腱板?を固定する手術をしたそうです。その後も何度も脱臼を繰り返していて、数年前に私を訪ねて、それから一度も脱臼をした事がなかったのですが、先月、競技中に衝突があり、腕を捩じったまま、上に乗られて、脱臼してしまったということです。

私はまずは状態を確認し、整えて、体の使い方の癖を教えて、使えていない筋肉を使えるようにして、メンタルを整えました。そして、手術についてはそれを徹底的にやってから、競技して、脱臼を繰り返すようなら、検討するように勧めました。

手術をしたり、骨を固定する方式だそうで、それでも脱臼したら、骨が破損するということになるので、その時にはもう競技生活は終わりを迎えるということです。それはリスクがあり過ぎるのではないか?私は考えます。それにきちんと指導した内容を実践したら、脱臼はしなくなるはずです。

私の話を聞くまでは、やはりサポートチームのアドバイスや医療機関からのアドバイスを聞いて、手術の方向に傾いている感じでした。それは本人の肩に対する不安感から来ているものでした。以前、イップスになっていた時期がありましたので、不安感がどうしても強くなる傾向があります。それも以前、私のところで解消していますが、やはり長く指導をしているわけではないので、どんどん思考は侵されていきます。

ですが、一度、考え直して、指導した内容をやっていくことになりました。

以下は大体、指導した内容です。

まず脱臼した後の処置が大概の場合は、うまくいっていません。動きに引っかかりがあったり、感じたりしているのは、その典型と言えるでしょう。これについては、肩鎖関節がまずは連動して動く必要があります。それを確かめるのは簡単です。私は腕立て伏せが躊躇することなく、痛みを感じることがなく出来るか?ということを判断基準にしています。これで動きの制限をまず無くすことで、体感として自分の肩に対して、未来への期待感を持ってもらう事が大事です。

大体、色々なことを言われているけど、言うだけで本人の体感としての変化を感じることが出来ていない場合が多いわけです。それなのに無理なトレーニングを強いることで更に、トレーナーや治療家への不信感と自分自身への信頼をなくしてしまいます。それは積み重なり、最悪イップスになったりしてしまうこともあります。

次に脱臼したあとに、使えなくなっている筋肉を特定し、使えていないことを本人にも体感してもらいます。それを徹底的に意識して、その筋肉を動かすというトレーニングをしていくわけです。肩関節は基本的に不安定です。それは色々な動きをできるようにするためでもあるわけです。

肩関節はよく言われることですが、筋肉で周りを囲んで、強力なサポーターとして利用しているわけです。ですが、その使い方には癖があり、一度、脱臼すると、それはさらに加速してしまいます。その状態で筋トレしても、アンバランスのまま使うので、余計にアンバランスは加速していきます。簡単に言うと、サポーターに穴が開いているようものです。それでは脱臼しやすくなるのは当然の結果と言えます。それを補強するのです。

あとは過去の記憶をクリアにしていくことをしていきます。終わった後には、本人の言葉ですが、めちゃくちゃラグビーしたくなったと言っていました。

こんな感じで、状態を整えて、癖を見直し、強化していく。単純です。反復性脱臼を悩んでいる方は、参考にされてください。

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