(コラム15)自信のない親愛なるものへ

こんにちは。トータルケア太陽の中尾です。

今日は私の弟子に宛てたメールを引用します。

まずは読んでください。その後に私が何を想ったのか?本当に大事な大事な。治療家として、人として、持っておくべき心根について書いています。心ある方はぜひとも最後までお付き合いください。佐藤さんは架空です。日本で一番多い苗字だから。

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佐藤さん

お疲れ様です。

今、佐藤さんは色々な症状を診れる治療家を目指しているのは素晴らしい志だと思います。

なので、出来る限りサポートしてあげたいと思っています。

ですが、正直、どういう風に教えていいのか?困っています。今までの接し方が悪かったのかな?とも反省もしています。

その患者さんのことは置いておいて、私が気になることがありますので、今後のためにも佐藤さんにはお伝えしておきたいと思います。

治療にはなんでそうなっているのか?というのがわからないと治療はうまくできないと私が言っているのは何度も聞いたことがあると思います。

私が今よりもはるかに未熟だったころに色々と質問が出来たのは本当に有難かったです。

ですから、それを模倣して質問を受け付けていましたが、私が質問をすることが出来たのは膝が痛い、腰が痛いとか整体的な症状に関する質問だけでした。

今まではお父さんのことだから、色々と応えていましたし、それに準じて他の患者さんの事とかも応えていました。

ですが、それがよくなかったのかもしれないな?という風に反省をしています。

今、完全に佐藤さんは大切なことを見失っていますし、今一度、見直すべき時が来ていると思います。

佐藤さん

佐藤さんは技量はともかくとして治療家として患者さんを診ているわけです。

ですから、集められる限りの情報を自分で集めて、今の自分の持っている技術や知識をすべて使って、患者さんに説明して、治療に当たるべきです。

私のように色々な症状を診れるようになりたいと思うことと、今できることを見失うことは違います。

自分で診るつもりなら自分の持っているものできちんと対応して、対応しきれないのなら、きちんとお断りをする

がんの進行を止めて、元の身体に戻すということで関わるのなら、それだけの素地を佐藤さんは持っていますか?

なぜ?ガンが発生するのか?ガンの生体内で起こっている事を説明ができますか?

知識のない医師に治療を任せることが佐藤さんは出来ますか?

何も分からないけど、聞きながらやります!

わからないから、何か出来ることがあるなら教えてください!

とにかく世話になったから、なんとかしなきゃ!

それでは教えようがないし、そもそも治療を行うというのはそういうものではないし、治療家としての姿勢が私とはあまりにも方向性が違います。

私は今まで佐藤さんに治療の根拠となるものを得て欲しいと思い、接してきたのですが、どうも、そういう発想に至っていないようです。

それに治すということにこだわり過ぎて、今出来ることをすっ飛ばしてしまっていて、先ほども書きましたが、今できることを見失っています。

ガンに関することで今の自分で持てるもので活かせるものは?

それを探して、それを確認してくるとかなら、まだわかるのです。

冷静になって、自分が治療家であることを忘れないで患者さんと接するようにしないと、いつまでも成長はできません。

佐藤さんは一般人ではなく、治療家なのです。

これから自分が目指す治療家で必要なことは何が必要なのか?それをもう一度、整理して、学び直す必要があると思います。

お父さんが亡くなられた今だからこそ、自分と向き合ってください。

今回のような患者さんはちょっと腰が痛いとかとは訳が違います。命がかかっているのです。だからこそ自分の治療家としての姿勢がきちんとしていないといけないと思うのです。

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僕も昔、相当にダメな治療家で、本当に苦労しました。今もバカすぎて、生化学の勉強をしてて、おでこにニキビが出来てしまっている始末です。

そんな僕が昔、病院に勤めている時に、初めて末期の肝臓がんの人がリハビリに来た時にビビって、何もできなかったことがありました。

お腹がもうこれ以上なく腫れていて、何をどうしてあげたらいいのか?全くわからなかったし、声のかけ方もわからない。自分には何もできることはないし、それよりも恐怖が先に立って、立ちすくんでしまって、本当に無力でした。

その時に僕は同僚であり、先輩である大阪生まれの片目のマッサージ師の横山さんにリハビリを代わってもらいました。

何をするのか?僕は遠めでその様子を見ていました。本当に卑怯です。

横山さんは初めに名前を名乗り、触ると痛いところを聞いた後は、何も会話はせずに、ただひたすら全身を揉んで揉んで、揉みまくっていました。額から汗がボロボロとこぼれるほどに・・・。

そして、時間が過ぎ、横山さんは「終わりました。」言いました。

すると、その患者さんは、「気持ちよかった。ありがとうございました。」そう言いました。

その時に私は電撃が走りました。それでいいんだ!と。

そうです。ただ出来ることをすればいいんです。ないものを、もっていないものを、無理やり引き出す必要はないのです。今ある手持ちのもので、その人に出来ることをすればいいのです。

嫌なら、断られるだけです。もしくはその時は我慢しても、次は求めてこないだけです。

あの時の僕のように出来ないと初めから逃げて、誰かに頼る。それもありだけど、その頼った時に教えてもらったことがとても貴重な体験だった。そのことをシェアすることは今、治療家としてあり方を悩んでいる人だけでなく、自分に自信がないという人にとっても、とても貴重で、良いヒントになるのかもしれない。

だって頼った時に、そうでなかった経験をすることもあるでしょう?でも、そういうこともあると知ってほしい。

そして、治療家として生きていきたいのなら、ここに書いたことは非常に重要です。

人の命を、人生を扱うのが治療家です。

一人の大人として、真摯に自分と向き合い、情報を精査して、更新して、完璧ではない自分を認めて、そして、今の自分に出来ることのベストを尽くす。

こんなテクニックを知っているとか、こんなに治せるとか、そういうのでなく、本当に人を診れる治療家で在りたい。私はそう思っています。

これからたくさんの人が亡くなっていきます。治すばかりではなく、心を救うことも治療家の志事だと私は思うのです。

横山さん、佐藤さん、ありがとうございます。

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